初出：小学三年生1982年4月号
荒岩の顔はつくりものだったのだ。その下から現われたのは覆面姿のゲーム戦士。
「荒岩岩太とはかりの名…。これがおれの正体！ブラックエイリアン日本支部員、ロック・岩太だあーっ！」新たな必殺技、岩石クライミングを繰り出すロック・岩太。
ブラックエイリアンとは一体？いぶかしむあらしの頭上に、巨大凧に乗った覆面の男たちが現われた。
「われらは、世界各地からよりすぐられたゲームの騎士！ゲーム組しき、ブラックエイリアンのゲームナイトだ！」
そのゲーム組織の標的として、あらしが選ばれたらしい。ロック・岩太は挑戦者のひとりに過ぎないというのだ。
「ううっ、うずくぜ体が！おれは、ＴＶゲームのチャンピオン！ゲームナイトなんか、知らねえが、そのちょう戦うけて立つぜーっ！」燃えるあらしは炎のコマで岩太を引き離す。
が、岩太はそれを見ても動じない。「グフフフ、ばかめ！見ろ、あらし！」岩太は体を捻ったかと思うとその場で回転し始めた。「水雲流、風雲水車の術！」
不思議なことにその途端、触れてもいないのにレバーが動き始めた。超スピードでゲームが進み、岩太の得点が上がっていく。月面宙返りも炎のコマも、風雲水車の術にはかなわない。大会を放送していたテレビ局もスロービデオで解析を試みるが、あまりの速さに追いつくことができない。
「あせったら負けだ！」あらしは水魚のポーズをとり、精神集中を始めた。
「心をしずめ水魚となれば…、時の流れも静止する………。おまえの動きも止まって見える…………。」あらしの目がくわっと見開く。術の正体を見切ったのだ。
「全身から飛びちるあせ！そのあせが、レバーとボタンを動かしているんだあっ！！」
ジャンプしたあらしは、頭上で両手を交差させた。エレクトリックサンダーだ。高圧電流が汗を伝わって岩太にも流れる。あらしの逆転勝利である。
それを見て去っていく他のゲームナイトたち。しかしブラックエイリアンとの闘いがこれで終わったわけではない。やがてより強力な挑戦者が現われるはずだ。新たなゲームナイトの登場も近い…。
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