初出：コロコロコミックNo.22（1980年2月号）
収録：てんとう虫コミックス第2巻／小学館コロコロ文庫第1巻／太田出版復刻版第1巻
さとるの誕生日パーティーに呼ばれたあらしと一平太。しかしさとるの家は緑地公園並みの敷地面積を持つ、とんでもない豪邸だった。地下の温水プール、トレーニングルーム、そそり立つ巨大なバースデーケーキなどを見せられただ驚くばかりの二人。お祝いに集まった友人たちを前に、さとるは「今日はたっぷり楽しんでくれたまえ」とゲームルームを解放する。
すかさず駆け出したあらしだが、さとるは「とっておきのゲームがあるんだ」と言って呼び止めた。ボタンを押すと、カーテンが開き壁一面のスクリーンに映るギャラクシアンが現れた。ゲームセンターが小学生立ち入り禁止になったため、やりたくてもできないでいたあらしは大感激。さとるからラジコンのプロポを改造したコントローラーを渡され、さっそく挑戦を開始する。
パンフレットでやり方を読んでいるだけというあらしは、華麗な手さばきで着実にギャラクシアンを落としていく。護衛二機→旗艦と撃墜し、栄光の八百点を出してギャラリーの歓声に照れるあらし。しかしその隙に、回転する編隊にやられてしまう。初めてのプレイで、フワフワ揺れるギャラクシアン特有の動きになかなか慣れることができないのだ。
焦るあらしは、ふと思い立って先ほど通ったトレーニングルームからエキスパンダーを持ち出す。「そんなもんでなにすんだ〜〜〜っ！？」という問いに、エキスパンダーのバネを足と腰に結び、天井から逆さにつり下がるあらし。揺れるギャラクシアンの動きに合わせ、自らの体も一緒に揺らしてタイミングをとろうというのだ。相手が宙返りすれば、自分も宙返り。まさに日本一のゲームバカである。
しかし二面になったとたん、ギャラクシアンがバラバラになって同時に攻めてきた。これこそさとるが対あらし用に開発した、ギャラクシアンスペシャルだったのだ。負けじと応戦するあらし。「くそくそくそくそくそくそ〜〜〜っ！」くそくそ言いすぎて本当にトイレに行きたくなるが、そんな暇はない。最後に飛来した三機も見事撃ち落とし二面目をクリアーするが、激しい動きにとうとうバネが切れ、バランスを崩し壁に叩きつけられてしまう。
目を腫らし、鼻血を流しながらもプレイを続けるあらし。その執念に、挑戦したさとるもうなる。「お、恐るべき執念……。しかし三面めは……。いかに、あらし君でも無理……。」なんと三面めが始まるなり、ギャラクシアン全機が最初の編隊を崩さず一度に自機に向かってきたのだ。「くそうっ！おれは！おれは！ゲームセンターあらしだあ〜〜〜〜っ！」叫ぶあらしは体を思いきり回転させながら応戦する。がその時、さらに二本のバネが切れた！
必死でバランスをとりながら、凄まじい連打を続けるあらし。勢い余って天井に顔面からぶちあたるが、その時にはすでに三面の敵はすべて全滅していた。さすがのさとるも完全敗北を認めざるを得ない戦いぶりである。たった一本残ったバネが体に絡まり、宙吊りになって身動きのとれないあらしは、「どうでもいいから、ここからおろしてくれえっ！トイレががまんできない〜〜〜っ！」と助けを求めるのだった。
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